2010/03/08

洗えばイイってもんじゃない

高尾山口駅から高尾、城山を結ぶ稜線を一歩一歩気を遣いながら走る。泥濘んだ道は滑りやすく、深いパターンのソールも、無力に、引っかき傷のような足跡を地面に刻むだけだ。霧雨の高尾山トレイルラン・・・。

昨日、のむ太郎さんと合同練習と称して高尾山に行ってきた。早朝の空はどんよりとしていたが、気温が高かったので、予定通りトレイルを楽しむことにした。のむさんに車で迎えに来てもらい、途中マクドナルドで軽く食事を取り、2時間ほどで高尾山口駅に到着。

登山道入り口は予想に反し、登山者の色とりどりのウェアで賑わっていた。急勾配の階段、我々2人は登山者より少し速い足取りで上り始める。丸太を並べた階段が切れ、走れる道が顔を出した。のむさんが走り出す。私も追うように走り出す。この日、おNEWのトレイルシューズを履くのむさんは上機嫌だ。いいね!最高だね!と叫びながら山道を駆け抜ける。

あっと言う間に高尾山山頂に到着。ほどよい運動でお腹が良い具合に活性化した私はビジターセンターで用をたす。陣馬山まで行くか、城山までにするかを2人で話し合った。小雨で寒くないのだが、山の天気はどう転ぶか分からないし、最初の合同練習と言うことで、今日のゴールは城山までとした。

城山までの登山道は徐々に走り難くなっていった。雨で滑る泥濘みも走り難いのだが、私には丸太の階段の方が数倍走り難かった。丸太の階段は登山者の手助けはしてくれるが、我々ランナーには邪魔でしかない。自分のピッチ(歩幅)に合っていない間隔で配置された丸太を走るのはストレスが溜まる。しかも、よく滑る。

のむさんと私はどちらからともなく、登山道の柵の外側を走っていた。人が歩いていた形跡がなく草木が生い茂った場所は水捌けもよく滑らない。草に隠れた木の根に躓く恐れもあるが、注意深く走れば問題ない。何より、背の高い草や木の根を飛び越えて走るのが楽しい。まさにトレランらしい走りが出来る。

城山まであと数百メートルの急な坂道は川のように泥水が蛇行していた。子供の頃に観た、川が出来るまでの映像を思い出した。ここは焦らずにゆっくりと歩く。腿の付け根に軽く手を添え、脚にかかる負担を少なくする。前傾し過ぎないように、脚だけ登らないように、体重移動を上手く利用して歩く。

城山に到着。ここにはキノコの入ったインスタントラーメンのようなラーメンが食べられるという事で楽しみにしていたのだが、生憎の天候の為、小屋には誰もいなかった。仕方がなく、持参のポケット羊羹と水で我慢した。「仕方がなく」だったのだが、これが中々美味い。山では何でも美味しく感じるものだ。雨足が徐々に強くなる。ランニングバックに入れてきたモンベルのウィンドブレーカーを一枚羽織った。

下り中心の復路は楽しい。何箇所か嫌な丸太の階段があったが、往路で苦労した登山道を来たときの倍の速さで駆け降りられる。途中6号路(琵琶滝ルート)に入ったのが正解だった。スピード感がたまらない。気分は石川広樹だ。あっと言う間に高尾山口に到着。往復約18キロを3時間楽しんだ。晴れてればもっと楽しめただろう。

高尾山口駅前の水道で泥だらけの靴を洗う。靴洗い用のブラシが常備されているのは嬉しい限り。私はササっと泥を落とす程度で済ませたが、おNEWシューズののむさんは丁寧に洗っていた。背中と下半身が泥だらけなのに、靴だけを懸命に洗っているのを端から観察すると面白かった。

さーてと、ここから本編の始まりだよ!真面目に書いていると肩が凝っちゃうよ。

体中の汗と泥を落としに、風呂に行く事になった。目指す目的地は「高尾の湯ふろッぴィ」。スゴい名前でしょ。ひらがなとカタカナのミックス表記だ。通常入館料1800円は厳しいので、2時間で800円のエココースにした。まあ、汗流して飯喰うだけなのだから2時間もあれば十分でしょ。

大浴場にはファミリーバスに檜風呂、ジェットバスに薬湯風呂にスチームサウナ、水風呂、露天風呂と風呂だらけ。彦摩呂なら「お風呂の遊園地や~!」と叫んでいたに違いない。風呂の種類は豊富なのだが、肝心のお湯がぬるい。デジタルの水温計は40度を示していたが、表示より2~3度は低いんじゃないかと思われる。拍子抜けのお湯の所為もあるが、トレランで相当エネルギーを消費したらしく、普段は長風呂の私も空腹には敵わず、カラスの行水で風呂から上がり、大広間(大食堂)へ移動した。

お湯は☆1つ以下だったが、メシの方は・・・評価は止そう。ここはそう言う所ではないのだ。ここは所謂健康ランドってやつで、えらくデカい。風呂、レストルームは勿論のこと、整体院、各種エステ、大広間、宴会場、焼肉屋、ゲームセンターにカラオケルームと豪華絢爛大娯楽施設だ。日によっては有名ドサ回り歌手や地方営業中心の有名芸人のライブショーなんかあもあるらしく、壁という壁に、テレビでは中々見られない、紅白歌手の名前によく似た名前の演歌歌手や、見たことも聞いたこともない「人気上昇中」の芸人のポスターが貼っている。見ているだけで、何だか悲しい気分になってしまう不思議なポスターだ。

幸運にもこの日はショーが行われておらず、代わりに一般のご老人達が、ステージの上で自慢の歌声を披露し合っていた。これがまたすごいんだ。独特な手振りとステップで、爺さん婆さんがカラオケで盛り上がっているんだよ。しかも、色恋の歌詞を熱唱しているんだぜ。う~~んたまらない。何て言うのかなあ。昭和の公民館みたいな役割を果たしているんだろうね。

そんな感じで2時間が過ぎ、のむさんと私は帰路についた。トレランの感想や今後の練習の仕方など色々な話で盛り上がり家に到着。私はすぐさま汗と泥にまみれたウェアを洗濯機に放り込む。バックパックも何となく塩っぱい感じがしたので洗濯ネットに入れ洗う事にした。

いつの間にか寝ていたようで、気がつけくと深夜1時を回っていた。ノドが渇いていた。近所のコンビニで飲み物を買ってこようと服を着る。

あれ?財布がない。ズボンのポケットにも、テレビの上にも、着替えを入れていたカバンの中にも、考えられる全ての場所を探したが見当たらないのだ。落とした・・・。あの財布にはキャッシュカードを初め、クレジットカード、免許証、保険証と私の全てが入っている。ヤバい!

のむさんの車に置き忘れてきたのか?しかし、こんな深夜に連絡するのは非常識だ。私は「おはよう!」から始めるメールに、財布をなくした旨を書いて送信した。さあ、クレジットカード、キャッシュカードの停止だ。インターネットで、銀行とカード会社の電話番号を調べ、電話をかける。即座に出てくる女性オペレーターの声。こんな深夜でも対応しているなんて働きものだねえ。しかも優しい声だ。

本人確認と失くしたであろう場所や時間帯等の質問に答えると、間もなく私のカードは無効化された。再発行に10日から2週間を要するという。この期間カードでお金をおろす事も買い物もできない。なんて不便なんだろう。しかし仕方がない。悪いヤツに拾われてお金を引き出されたり、インターネットで買い物をされてしまっては元も子もない。同じ処理を2つの銀行とクレジット会社に対して行った。どっと疲れた。明日は警察に紛失届けをしにいこう。

翌朝、メールの着信音で目を覚ます。のむさんからのメールだ。車にはなかったらしい。明るくなってから再度探してくれると記されていた。

来年か再来年に海外の大会に出ようと密かに始めた500円貯金箱。缶切りで開けようか悩む。結構イイ所まで貯まっているから開けるのは惜しい気がする。そこで私はほぼ使いきっているQUOカードにハサミを入れ、貯金箱の入り口に差し込み、500円玉を抜き出す作戦にでた。貯金箱を軽く振り、上手くQUOカードに乗った500円玉をそっと引き抜くのだ。これがなかなか上手くいかない。QUOカードがやわらか過ぎるからだ。貯金箱と格闘の末、3枚の500円玉の救出に成功した。これでメシが喰える。

一人でニヤつきながら500円玉をみていると、のむさんが心配をして電話をかけてきてくれた。やはりなかったとのこと。のむさんの電話で現実に引き戻された。私には、やり残しの事、やらねばならぬ事が沢山あった。順に片付けていこう。先ずは洗濯物だ。

洗濯機のフタを開ける・・・おや?あっちゃ~!なんてこったぁ!洗濯物の一番上で、ずぶ濡れの財布が私を嘲笑っていた。一度停めたキャッシュカード、クレジットカードは再発行されるまで使えない。

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2 件のコメント:

Kemeko さんのコメント...

カードなんか持ってると、心が汚れてろくな買い物しないのですよ、きっと。
文字通りキレイな体になったということでw。

不便になって残念でしたというか、良かったですねというべきか悩む。

mushigoro さんのコメント...

ケメ公

私は心の汚れた薄汚い人間でした。無駄なモノに散財しまくり、お金を大切に使うという大切な事を忘れていましたw

って久しぶりじゃん。ゴルフばっかやってないで、チャリも乗ろうぜ!もう少し暖かくなったら、逗子方面にグルメライドしに行くよ。一緒に行こう!